事前調整型と事後チェック型?

毎日「社説:通信行政訴訟 事後チェック型の競争政策を」

 KDDIなど新電電各社が、総務省を相手に起こした行政訴訟に対し東京地裁は、新電電側の主張を退ける判決を下した。新電電側が敗訴したとはいえ、訴訟の場に持ち込まれたことは、許認可が支配してきた電気通信行政のあり方が変化を迫られていることを示している。

 固定電話は、NTTの交換機を介さない直収型サービスが主戦場だ。このため、今回問題となった接続料規則自体はあまり意味がなくなっている。問題は、NTT民営化から20年が経過する中で従来型の競争政策が通用しなくなっていることにある。

 インターネットの普及と回線の大容量化により、通信事業は大きく変わろうとしている。音声通話もIPと呼ばれるインターネットの技術を利用した方式に移行を始めている。主戦場の直収型サービスは、NTTの局舎と家庭や事業所をつないでいる電話線を新電電が借り上げて提供する。

 直収型はNTTとの契約が不要のため、NTT東西の地域会社は基本料収入を失う。割引を進めるなど対策を実施しているが、究極の対抗措置は、回線を光ファイバーに切り替える光化だ。

 NTTは10年までに3000万回線を光回線に置き換え、さらに現在約6000万ある固定電話回線すべてを光化する方針を示している。光回線によるネット接続と一体化したIP電話は、月額基本料が500円で昨年からサービスが始まっている。

 新電電が展開している直収型サービスは、銅線の電話回線を使用している。現在の電話網は電電公社時代に形成され、新電電も自由に使えるようにしないと不公平だとして、NTTは新電電に対して貸し出し義務を負っている。

 光回線についても、NTTは未利用の回線を新電電に貸し出す義務を負っているが、民営化後に整備が進められたことや、新たな投資意欲がなくなることを理由に、光回線については貸し出し義務を無くすよう主張している。

 また、音声通話、ネット接続、携帯電話が一体となったサービスも展開が始まっている。映像配信や代金決済など従来の通信以外のサービスとも連動した形で多様な業務を進めようとしている。

 通信料金の引き下げを目標にしてきた従来型の競争政策ではカバーできない時代に入ろうとしている。さらに、電力線インターネットが解禁されれば、末端の回線をNTTが独占している現在の構図も変化してくる可能性がある。

 通信をめぐる競争政策は転換が不可避で、独占禁止法をもとに司法も利用する形にすべき時期にきている。それでも通信行政には大きな役割が残る。通信の秘密や災害時などの重要通信の確保、さらに消費者の選択が可能なように基本仕様を定めることだ。

 光化で日本は世界の先頭を走っている。それを産業の活性化に生かすには自由な競争環境が必要だ。通信の競争政策も、事前調整型から事後チェック型に転換することが必要だ。

ちょっと揚げ足を取ってみる。
「事前調整型」「事後チェック型」の用語は分かりにくい。企業行動が法に違反していた場合に法に基づいてサンクションを課すという制度を「事後チェック型」と呼ぶのであれば、現行制度も一応事後チェック型である。現行制度の下でも規制は一応電気通信事業法等の法令に基づいて行われ、違反した業者は法に基づいて裁かれる。(ただし、口頭の行政指導も行われているとも耳にする。これは「事前調整」と呼べる。)もちろん現行制度下でも独占禁止法は適用される。企業に好きなことをやらせておいて、後で「それは不適切でした」などといって処罰するような制度を「事後チェック型」と呼ぶのであれば、そのような制度は事業環境に大きな不確実性をもたらすので望ましいわけがない。
口頭での行政指導のような「事前調整」は止めるべきというのであれば意味は通るし賛同するが、本件は法令に基づく規制の内容の是非の話であるので、「事前調整型」「事後チェック型」の用語で分類して話をするのは的外れである。
産業横断型の法律である独占禁止法が定めるもの以上の規制を事業法を通じて行うことが適切であるか否か、また、適切であるとしてその内容がどうあるべきかといったことが問題であるというのはこの社説が言うとおり。また、禁止事項を独占禁止法等でどの程度細かく書くかも論点になり得る。


(参考)
毎日「接続料訴訟:新電電、「通信行政に一石投じた意味あった」」

Mozilla系ブラウザが欧州でシェア1割を確保、IEの広告クリック率は激減より(via id::comiken:20050422#p5)

 2005年3月時点での欧州市場のブラウザシェアは、IE 6.xが80.25%、IE 5.5が3.59%、IE 5.0が2.98%で、IE系が合計86.82%と依然として圧倒的多数を占めた。しかし一方で、Firefox 1.0が8.96%、Mozillaが1.14%となり、Mozilla系ブラウザが合計で10.1%を占めた。2004年11月の統計ではFirefoxのシェアが5.5%だったため、Mozilla系のシェアがほぼ倍増したことを意味している。ちなみにOperaは1.12%、Netscape 7.xは0.71%だった。

 調査では、各ブラウザ利用者における広告のクリックレートも比較しているが、注目されるのはIE利用者におけるクリックレートの激減だ。IE 6.x利用者のクリックレートが2004年11月には0.44%だったのに対して、2005年3月には0.24%とほぼ半減した。IE 5.5や5.0でもこの減少傾向は顕著である。一方でFirefox 1.0利用者のクリックレートはこの4カ月で0.11%のまま変化せず、Mozillaでも0.24%から0.2%へと微減するに止まった。

 クリックレートの変化の理由についてADTECHでは、11月というクリスマス商戦前の時期の影響と年初めに見られた住宅広告の増加が引き起こしたものと考えているが、それを考慮に入れてもFirefox利用者のクリックレートはIE利用者よりも安定しているようだ。

星占い

政経羅針盤第3版:http://sakidatsumono.ifdef.jp/political-compass.html

政治的な右・左度(保守・リベラル度) -5.4
経済的な右・左度(市場信頼派・政府介入派) 0.56
あなたの分類は リベラル右派 です。

どう答えたらいいのか分からない設問もあるけどお遊びということで。