日経春秋がブロガーをネタに

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春秋(4/30)

 日記風の文章をネットに書き綴(つづ)る個人のホームページを「ブログ」という。ウェブとログ(記録)を組み合わせた造語だ。自分の情報を日々せっせと発信する“ブロガー”がここ1年ほどで増殖し、国内で200万人を超えたそうだ。

▼たしかに調べ物で検索すると個人サイトが大量に引っかかる。「さっき出張から戻った」とか「村上龍の新作を読んだ」とか、たわいない内容にがっかりすることも多い。名前や素性は明かさないが、それでもボクやワタシの話を聞いてほしい自称評論家やタレントがパソコン画面の向こう側にひしめいている。

▼有名になりたいのか。自分に酔っているのか。書き込みに精を出す40代の男性に聞くと答えは意外だった。「誰も読んでくれなくていい」。何者かが自分を見ているという状態をつくり出す。そこで体験や思いを言葉にすれば自らを律することができ、仕事や生活に励みも生まれるという。

▼同じ構図をエルサレムの「嘆きの壁」で見たことがある。ユダヤ教徒は体を揺すりながら壁の「向こう側」に延々と語りかけていた。宗教の違いはあっても、自己と、自己を見守る超越者を言語でつなぐ行為が「祈り」だろう。情報化時代の神はネットの闇にも宿る。人を煽(あお)るのではなく、声を聞くだけの神であってほしい。


コメント:http://d.hatena.ne.jp/./diansoya/20050430#p5http://d.hatena.ne.jp/./finalvent/20050430/1114836027http://concorde.air-nifty.com/first/2005/04/post_a8a5.html